親知らず(親不知とは)

「第3大臼歯」のことをいいます。 真ん中から数えて6・7・8番目の大きい奥歯のことを「大臼歯」というのです。
第1大臼歯というのは、いわゆる6歳臼歯のことで、これは6歳ごろに出てきます。
第2大臼歯は12歳ごろに出てきます。 「親知らず」という呼び名の由来は、昔、「親が亡くなってから出てきたため」と言われています。また別名「智歯」とも言われています。
これは「成人になって知恵がついてから出てくる歯だから」、という理由のようです。
多くの方は20代頃に生えてきますが、そもそも親知らずが先天的に存在しない場合、生えて来ない場合もあります。
きれいに生えることが少なく、歯磨きがうまくできず虫歯になったり、歯肉が腫れてしまったりすることが多いのです。自分では生えていないと思っても、歯肉の中に埋まっているケースもあります。
どうして親知らずがお口のトラブルの原因になってしまうのでしょうか。
食品を加工せずに食べていた大昔と比べ、食生活の変化により、あまり硬いものを噛まなくなったため、顎は退化して小さくなってきました。
しかし、歯の大きさや本数にあまり変わりはありません。
そのため、永久歯の中で最後に生えてくる親知らずのためのスペースがなく、他の歯と同じようにまっすぐ生えることができず、お口の中で悪い影響をもたらすことが増えてきたのです。

親知らずが痛くなる原因

痛みの原因は様々ですが、多いものとしては2つのパターンがあります!

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1.歯ぐきが炎症を起こして痛い(智歯周囲炎)

親知らずが傾いたり歯ぐきに埋まっている場合は、隣の歯との間にスペースができ、汚れが溜まりやすくなります。そして、その汚れに細菌が繁殖して化膿し、歯茎が腫れて痛くなります。
これを智歯(ちし)周囲炎といいます。
症状が軽度の場合は、歯周ポケットから膿が排出され、それとともに症状は消えますが、いずれ再び再発します。これを繰り返した場合、だんだん炎症がひどくなります。
炎症がひどくなると、あごの下のリンパ腺や扁桃腺が腫れてきます。さらにひどくなると顔が腫れてきたり、喉の方まで腫れて痛くなったり、口が1cmぐらいしか開かなくなることもあります

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2.虫歯が痛い

親知らずは位置が奥にあり歯ブラシが届きにくく周りに汚れが溜まりやすいです。汚れが溜まるということは、虫歯にもなりやすいです。また、親知らずの向きが内向きに傾いている場合や埋まっている場合は、隣の歯を圧迫して傷つけやすく、親知らずだけではなく傷ついて弱くなった隣の歯も虫歯にかかりやすくなります。

親知らずは全て抜くの?

お口の中できちんと使える場合や、お口にトラブルを引き起こしていない親知らずであれば、抜歯の必要はありません。

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親知らずを抜かなくても良い場合

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親知らずを抜いた ほうがいい場合

綺麗に生えてきて、歯磨きにも問題がない場合

虫歯が神経まで到達していて、神経の治療ができない場合

一部だけ生えてきて、他の歯に悪い影響を及ぼしていない場合

何度も腫れ・痛みを繰り返し、その間隔が短くなったり、腫れがひどくなったり、痛みが強くなってきた場合

完全に骨の中に埋まっていて、問題が起こる可能性が低い場合

顎関節症を引き起こしている原因で、かみあわせの調整、神経の処置では対処できない時

ブリッジの土台として利用できる場合

患者さん本人が、親知らずの抜歯のリスクよりも歯並びの保全を優先させた場合

腫れや違和感が少しの場合

充分に歯磨きができている場合

親知らずの治療手順

STEP1 問診

(全身疾患や、アレルギー、常用している薬などの確認)やレントゲン撮影を行い、診断を受け、問題が無ければ抜歯を行います。

STEP2 麻酔をする

親知らずの周りの歯茎に麻酔の注射をし、痛みや出血を抑えます。

STEP3 歯を抜く

歯と顎の骨に手用器具を入れ、力をかけて歯を脱臼させてから、歯を抜きます。歯茎に残っている「膿の袋」や「不良な組織(肉芽組織)」を取り除きます。

STEP4 止血する

以上の流れで抜歯が済んだら、ガーゼを噛んで休憩し、出血が落ち着いたら帰宅になります。

下記のような診断があった場合の抜歯

歯が歯茎の中に埋まっている

麻酔後、歯茎を切り開きます。

歯が顎の骨で覆われている

麻酔後、歯茎を切り開き、一部を削り取ります。

歯の根っこの形態が複雑(肥大している、曲がっている)である

麻酔後、歯茎を切り開き、歯を削って分割します。